実は、AO・推薦入試で合格した看護学生は、一般入試で入学した生徒に比べ退学率や看護師になった後の離職率が高いのが現実です。原因としてよく言われるのは「辛い受験を乗り越えた経験がないから」というもの。確かに、辛いことを乗り越える経験は確実に人を成長させます。受験を乗り越えることには大きな意義があります。しかし、「AO・推薦入試だから辛い受験を乗り越える必要がない」という発想が、まず問題ではないでしょうか。AOや推薦入試は、学力だけでは測れない能力や、人間的魅力を持った学生を集めるという大切な意義を持っています。実際どんな分野でも、同じタイプの人間だけが集まった組織は機能しないものです。ですから、AOや推薦入試を受ける生徒はその制度で選ばれる人間であることを自覚し、友達や家族に誇れる何かを一つ持つことを目標に学生生活を送ってほしいのです。その気持ちがあれば一般受験と変わらない苦しさも味わうこともあるでしょうし、合格を勝ち取った時も変わらない達成感を得られます。それが、小論文や面接の中身にも表れてくるはずです。「誇れる何か」は部活でも趣味でも恋愛でも良いと思うのです。AOで入ったから、あの子は推薦だから、そんなこと言われず、生徒が人にも未来の自分にも「AOで受験してよかった」と胸を張れる受験生活を送りましょう。
